建築事例

手結山の家

敷地は空港より55号線を東へ、車で15分ほどの小高い丘の上にあります。敷地は北側道路より3mほど下がる段々畑で、上部は建築用地、下は家庭菜園用地です。

土佐の民謡「よさこい節」のなかで、「おらんくの池にゃ 潮吹く魚が泳ぎより よさこいよさこい」と歌われます。
水平線を目の前にするこの風景は、映し出される太平洋、太陽、魚等を結びます。このような場所に、土佐の気候風土のなかで職人たちにより育まれた技、恵みによる質の高い建築を考えました。
建主は情報処理を専門とする学者で、仕事や日常の疲れを癒す空間として、あたかも母に抱かれた子どものような幸せな空間にしたいと考えました。

4間角が2層、延べ床面積が32坪のシンプルな平面です。同スパンの柱で囲み、中央に8寸角、約240㎜角の大黒柱を据え均等に4方向に肘木組を持つ寄棟の建築です。壁4間のうち3間がすべて開放でき、開放感を満喫できる空間です。
先人に学んで考えた建築工法に、「納屋型の家」と「大きな家肘木型」があり、この家の場合はその二つを併用したタイプです。
「納屋型」のタイプは梁間が3間、桁行が6間、総2階で延べ床36坪です。流通している4寸×8寸の梁材で全体を構成でき、加工の手間を少なくしています。「肘木型」のタイプも同じ材を使うことで、加工の手間を少なくしています。肘木を柱から持ち出す構造によって支えます。
いずれの工法も先人の育んだ技をもって、土佐の風土のなかで長い時をかけて強さと居住性が試されたもので、頼りになると考えています。

建築詳細

竣工
二〇一四年一〇月
構造
木造二階建
主な外部仕上げ

屋根 / カラーGL 厚〇.四ミリ 横葺き

外壁 / 土佐漆喰塗り

主な内部仕上げ

天井 / 二階 野地板見出し、一階 床板見出し、和紙クロス貼り

壁 / 土佐漆喰塗り

床 / 杉厚板 厚三六ミリ 本実加工

設計

上田堯世(上田建築事務所)

施工会社

(有)勇工務店

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