土佐派ネットワークス宣言
住宅外観
土佐派ネットワークス

                       2009年4月

土佐派ネットワークス宣言

(設立趣意)

「住まい」というものは、人がその風土の中で生まれ育ち、伴侶を得、子を生み育て、笑い、怒り、泣き、そして時がくれば死んでゆくすべてのライフステージに寄り添っていなければならない大事な建築(器)です。また、その土地の景観をかたちづくり、地域の経済に好影響をおよぼし、歴史や文化をきちんと伝承するというきわめて重要な役割も担っています。

 ところが今の日本の現状はどうでしょう。山は大量の杉や桧で溢れながら、それを放置したまま輸入外材と化学物質を多用した新建材で家を建てるのが当たり前。本物の自然素材を遠ざけ安くて便利なニセモノで囲まれた人工的な家にやむを得ず暮らし、住宅ローンがやっと終わる25年ほどで建て替え、大金をはたいて家を使い捨てにする人々。温暖多雨で木がよく育ち、稀にみる地震国であるがゆえに世界最高レベルの木造建築技術を持ち得た国、日本においてこの有様です。世界にも冠たる日本の文化や伝統を敬い憧れる外国人はまったく信じられない光景だと嘆息し、心ある同胞は子孫に向ける顔がないと悲嘆にくれます。

 この現状をなんとか打破したい、身近にある素晴らしい地場の自然素材と先人が苦労の末に確立した伝統的な技法をもう一度蘇らせたい、環境の時代に相応しく長寿命で健康的で資源循環型のモダンな住まいを人々に提供したい―。そんな至極まっとうな発想から生まれたのが、高知県産の杉・桧、土佐漆喰、土佐和紙などの伝統的な自然素材と職人技に現代的感性のデザインを持ち込み、百年以上の寿命を持つ健全で美しい建築を目指す「土佐派の家」です。

 私たち(社)高知県建築設計監理協会土佐派の家委員会に所属する建築家有志は、この高知独特の建築文化運動である「土佐派の家」の理念に共感し、これに則った建築を積極的に設計してきました。そしてこれまで数々の全国的な建築賞もいただき、専門家の間では高い評価をいただいてきました。しかし、住まいづくりの奥深さゆえか、一般の方々にまだ十分に理解していただいているとは言えないのが現状でした。

 そこでこのたび、「土佐派の家」のさらなる発展と県内のみならず全国的な市場開拓を志し、確かな技術力を認められた施工会社、職人、素材生産者、そしてすでに「土佐派の家」に住んでおられる支持者がチームを組んで「土佐派ネットワークス」という新たな活動を開始することになりました。

 「土佐派ネットワークス」は設計者、施工者、職人、素材生産者という作り手にクライアントの希望と体験が加わって完成する家づくりの共同作業であり、優れた自然素材、デザイン力、匠の技を綜合し、“誠実で確かな仕事”をモットーとして、百年以上にわたり美しく住まうための家づくりを実現するプロジェクトです。何よりも、私たちの理念に賛同いただいたすべてのクライアントに心から満足していただける本物の住まいを提供すること、そして同時に地場産材の需要を喚起して地域経済を活性化させ、高いレベルの施工技術や先細りになりつつある職人技を復活・継承させるという大きな目的もあります。

 これからの日本人の住まいと住宅文化のあるべき姿を、辺境の地、高知から全国に向け発信するという私たちの高邁な「志」を、ひろく皆さんと共有したいと考えています。
                                                            

土佐派ネットワークスとは
住宅内観
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